メタルジグ
型さえしっかり出来てしまえば、量産が容易で、しかも低コスト。
そして、慣れてちょっとのコツさえ掴めば、良く釣れるルアーなので、作らないのは勿体無い。
型製作には最初、砥石を彫刻刀で削って作っていたが、これがなかなか大変なので、今は耐熱シリコンを使用して、型を作っている。
この作り方は、色々なサイトで紹介しているので、簡単な手順だけ記す。
用意するもの
- 旭化成 耐熱ワッカーシリコーン M4470(硬化剤も)
- 工作用粘土
- ブロック
- シリコン剥離材
- ジグの元になる原型
- 筆
- シリコーンを混ぜるボールとへら
先ず原型を、木材等で作る。(参考までに、鉛の比重は11.34)
粘土を伸ばして平らにし、ブロックで任意の大きさに囲う。
原型を粘土に半分埋め、耐熱シリコーンを、使用法に基づき硬化剤と混ぜ、気泡を出来るだけ飛ばしてから注ぎ込む。(混ぜた容器の底に振動を与えるか、何度か軽くコンコン叩いていると、抜けやすい)
硬化時間が経過したらもう片方を作製する為、出来た型に原型をはめ、ブロックで囲い、型と原型に剥離材を塗り、同じ様にシリコーンを流し込み、硬化したらゆっくりはがす。
鉛のまわり方を考えて、注ぎ口とエア抜きの穴を、彫刻刀等で彫り、型は完成。
型が出来上がったら、ブランク作製。
用意するもの
- ポータブルガスコンロ(専用のメルトポットでも可)
- 鉛を溶かせる鉄製鍋
- ステンレスワイヤー(径1.2mm〜1.6mm)
- ペンチ
- タルク(だいたいのベビーパウダーに含まれている)
- 筆
- 型を固定出来る物
- 鉛
この作業は、鉛を溶かした時に、有毒ガスが発生する為、野外もしくは、換気の良い室内で行う。
先ず、型に合わせて、ステンレスワイヤーの両端に、アイを作った物を用意する。
適当な量の鉛を、加熱して溶かす。(灰汁はなるべく取り除いた方が、綺麗に出来る)
鉛が溶けても直ぐに注がず、暫く加熱した方が、型の隅々まで鉛が流れて行き易い。
型にベビーパウダーを、筆で均一に薄く塗りつけ(これをすると、鉛が良く型内にまわり、綺麗に出来る)アイを作ったステンレスワイヤーをセットする。
型を固定して、注ぐ。
鉛が冷えて固まったら、取り出してバリを取り、ブランク完成。
この次が、最も失敗しやすい、コーティングと塗装。
一番、自分が苦労してきた工程。
一般的に塗料は、アクリルラッカー(シンナーで溶かすもの)を使用している様だが、自分は、水性アクリルガッシュを使う。
水性なので、きつい臭いがなく、換気に神経質にならなくていい。
シンナーを使わないので、体に優しいという利点がある。
しかし、くいつきが悪いので、しっかり乾燥させながら塗装をしないと、きちんと乗らない。
それさえ守れば、水性アクリルガッシュを使っての塗装は、容易だ。
先ず、アルミやホロシール、あわびシールなんかを好みにまかせて貼った後、よく油を落とす為に洗う。
その後自分は、エアブラシで作業していく。
はじめに腹の部分から吹いていくのだが、塗料の希釈は、アクリルラッカーより気持ち濃い目(筆からゆっくり垂れる程度だが、糸は引かない位)がいい。
はじめに薄く吹き付け、ドライヤーで乾燥。
これを、塗料の皮膜が出来るまで、数度繰り返していると、いつの間にか乗りが良くなっているのが判る。(表面に出来る水滴の感じが変わる)
そうやって吹いて乾燥、吹いて乾燥を繰り返し、塗装を終えたら、最低丸一日乾燥させる。
乾燥したら、ウレタンフロアーにどぶ漬けなのだが、どのウレタンフロアーでも良い訳ではない。
比較的、乾燥の速いタイプのウレタンフロアーとの相性がいい様で、遅延タイプの物では、色流れが起きた。
その中で、自分が使って一番事故の少なかったのが、東邦産業のウレタンコーティング材。
色止めもなにもせず、きっちり乾燥したら、これにのみドブ漬けするだけ。
皮膜の厚さも程好く、変色もおきない、とても使い易いコーティング材だ。
ただ一つだけやってはいけない事がある。
このコーティング材は、セルロースセメントとの相性が悪く、セルロースセメントに漬けたものを、これに入れてコーティングすると、たちまち黄変する。(水性アクリルを使っているからなのかもしれないが)
希釈にも、専用のシンナーを使わないと、黄変の可能性があるので、注意が必要だ。
逆に、遅延タイプのゼストウレタンフロアー、バレーヒルウイナーズウレタンフロアーは、セルロースセメントとの相性が良く、水性アクリルとの相性が悪い。
水性アクリルは、セルロースセメントと相性が良いので、はじめにセルロースセメントにドブ漬けして色止めをしてからだと、この二つの遅延タイプのウレタンでコーティング出来る。
色流れさえ回避できたら、後は好みの回数コーティングし(メタルジグなら5回もやれば、十分)、最後に最低丸一日乾燥させたら出来上がり。
水性アクリルを使用する場合、時間の経過と共に、ハンドピースのノズル先端や内部に、アクリルガッシュが付着してしまう。
水性アクリルは乾燥すると耐水性になる為、水やお湯では溶けなくなってしまう。
その為、ハンドピースクリーナーは、必携。
作業終了時や、長時間作業の最中に、吹き心地や吹き斑が出来る様な時は、クリーニングをするといい。
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